・子供の能力を伸ばす褒め方、褒め言葉を知りたい。
・子供のやる気が持続する方法を知りたい。
・子供を褒めているのに挫折することが多い。ダメな褒め方ってあるのかな?
と思っている方に向けて書いた記事です。
筆者(たーみょん)は中学校のフェンシング部コーチをして全国2連覇の実績があります。
コーチを始めたころは、強いチームと言えば褒めない怖いコーチ
というイメージがあったのでそのようにしていましたが、選手の自主性ややる気が感じられませんでした。
そこで、一転して褒めることを重視すると、自主性とやる気が満ちあふれ、みるみるうちに成長し、全国制覇に至りました。
本記事では上記実績を生かした内容に加え、論文の紹介もし、信頼性の高い内容となっております。
【子供の褒め方】結果や能力に注目すると挫折するという研究
コロンビア大学のMueller氏とDweck氏は
”Praise for Intelligence Can Undermine Children’s Motivation and Performance”
(知性のための賞賛は子供のモチベーションとパフォーマンスを損なう)
参考: https://pdfs.semanticscholar.org/25ab/297c17a87c8a0f79e109be531fe9c7da97b8.pdf
という論文を出しました。
どのような研究を行ったのかを紹介いたします。
実験内容
小学校5年生に対して知能テストが3回行われます。
1回目のテスト
1回目は簡単な問題です。
1回目のテスト終了後に、点数に関係なく全ての子供たちに対して、3つのグループに分け、違う言葉を投げかけます。
- 能力を褒めるグループ。
「すごい」や「賢いね」と子供の能力を褒める。 - 努力を褒めるグループ。
「頑張ったね」と子供の努力の過程に注目して褒める。 - 褒めないグループ。
何も言いません。
2回目のテスト
2回目のテストでは難しい問題を出しました。
テスト終了後には全員に対し、
「成績は非常に悪いです。半分も合っていない。」
と言いました。
3回目のテスト
3回目のテストでは1回目と同程度の難易度で簡単なものです。
実験の結果
2回目の難しいテストの後には褒め方によって継続する意思の有無を確認します。
3回目の優しいテストでは成績の変化を確認します。
持続するやる気
子供たちに対して、2回目のテスト(難しい)後に
「もう一度難しい問題に対してどのくらい解きたいか?」
と質問しました。
すると、グループ1の能力を褒められた子供たちよりも
グループ2の努力を褒められた子供たちやグループ3の褒められていない子供たちの方が
もっと難しい問題を解きたい
と答えた子供たちの数が多かったのです。
さらに、グループ3の褒められていない子供たちよりもグループ2の努力を褒められた子供たちの方が
もっと難しい問題を解きたい
と答えた子供たちの数が多かったのです。
つまり、
グループ2(努力賞賛) > グループ3(賞賛無) > グループ1(能力賞賛)
の順で、努力を褒められた子供たちが最も問題を解くことを楽しんでいたと言えます。
能力を褒められた子供たちは壁にぶつかると挫折しやすい
努力を褒められた子供たちは壁にぶつかっても努力を怠らない
ということがわかります。
また、
家に持ち帰ってもう一度難しい問題を解きたいか?
との問いに対しても
グループ2(努力賞賛) > グループ3(賞賛無) > グループ1(能力賞賛)
の順で解きたいと回答した生徒が多かったです。
つまり、
努力を褒められた子供たちが最も継続意欲があり
能力を褒められた子供たちが最も継続意欲がない
ということです。
3回目のテストの成績
- 能力を褒められた子供たちは1回目に比べ、成績を落としている。
- 努力を褒められた子供たちは1回目に比べ、成績を上げている。
- 褒められていない子供たちは1回目と比べ、成績に差はない。
1回目と3回目のテストは同程度の難易度にも関わらず、上記のような結果となりました。
能力を褒められた子供たちは2回目のテストの結果が悪く、自信を無くしていると思われます。更に、意欲もなく、そのため集中もできなくなり、点数が下がったのではないかと考えられます。
努力を褒められた子供たちは2回目のテストの結果が悪くても、意欲が損なわれずに問題に挑み、むしろ1回目よりも楽しみ、集中できたため点数が上がったのだと思います。
成績を偽る子供
2回目のテストの後に自分の点数を皆の前で発表するということをしました。
- 能力を褒められた子供たちのうち、38%の子供が実際の点数よりも高く発表しました。
- 努力を褒められた子供たちのうち、13%の子供が実際の点数よりも高く発表しました。
- 褒められなかった子供たちのうち、14%の子供が実際の点数よりも高く発表しました。
努力を褒められた子供たちと褒められなかった子供たちに大差はありませんが、能力を褒められた子供たちとは20ポイント以上もの差があります。
能力を褒められた子供たちは常に結果を重視し、良く見られたい
と思う傾向にあり、それは嘘をついてでもよく見られたいようです。
実験のまとめ
努力を褒められた子供たちの多くは、与えられた課題に対し、
楽しみ、
継続的に取り組み、
失敗に強い(挫折しない)。
その結果成績が上がっている。
能力を褒められた子供たちは、全て逆の結果となっており、時には嘘をつくこともあります。
多くの人は褒めることに対して疑いを持たず良いことだと考えているかと思います。
ですが、上記論文からわかったことは、褒めるときは努力を褒めることが大切。
結果(成績)を褒めるのではなく、過程(努力)を褒めるのです。
結果(成績)を褒めると、場合によっては何もしなかったときよりも悪い方向へと導き、最悪、嘘や不正を犯す子供になってしまいます。
子供の褒め方の実用例【やる気が持続する簡単な言葉】
私がコーチをしていて、選手を褒めるときに心がけているのは
選手が挑戦しているか否かを見ることです。
新たな技を習得しようとしているか
試合では自ら考え様々な技を試そうとしているか
等々を見て、挑戦や努力を褒めています。
もし間違ったことをしていても、その挑戦する姿勢を褒めてから軌道修正をします。
失敗や間違いは努力や挑戦の結果生まれたのであれば、褒めてからアドバイスを言うと子供たちの中へ言葉がスムーズに溶け込んでいきます。
フェンシングコーチ初期では適切な褒め方ができていなかったのですが、上記の着眼点で適切な褒め方が出来る様になると、子供たちの実力の上がり方が桁違いで、一気に全国制覇まで上り詰めました。
実例【やる気が持続する言葉】
子供に対してついつい言ってしまうテキトーな褒め言葉は
- すごい!
- 上手!
- 速い!
- 賢い!
等々能力を褒めることですね。(使わない方が良い言葉なので文字色薄くしておきましたw)
これまで書いてきた内容をもとにやる気が持続する褒め言葉の例を挙げます。
- 「一生懸命してたね。」
- 「頑張っているね。」
- 「挑戦しているね。」
これらの言葉に色々修飾して言ってあげると良いですね。
- お絵描きに一生懸命だね
- 勉強を頑張っているね
- 難しい問題なのに挑戦しているんだね
といった感じです。
復唱する
でも、ついつい能力を褒めてしまうことが有りますよね。
前もって褒め言葉を用意しておかないとちゃんと言えないことだってあります。
子供が、
何を頑張っているのか
どのように頑張っているのか
をちゃんと見てあげことが大切ですが、
どうしても気の利いた言葉を投げかけてあげられないときには
子供の発した言葉を復唱してあげる
のも良いです。
例えば、子供が
「きれいな花の絵を描いたよ」
「逆上がりが出来る様になったよ」
と言ってきたとします。そしたら親は
「きれいな花の絵を描いたんだね。」
「逆上がりが出来る様になったんだね。」
と復唱して微笑みかけるだけで、子供は認められた気分になり自己肯定感も上がります。
加えて、どんな気分か聞いてみてさらに復唱するのも良いです。
復唱ってテキトー感があるような…って思う人もいるかもしれませんが、子供にとっては
- 自分の言っていることを認めてもらった
- 自分のしていることを認めてもらった
と感じるので大丈夫です。
さらに言うと目を見て微笑みかけるのも大切ですね。
言葉だけでなく、表情からも認めてもらった感が伝わるからです。
まとめ
子供を褒めるときには
- 「時間をかけて挑戦している」
- 「何度も挑戦している」
- 「創意工夫をしている」
- 「難問に立ち向かっている」
- 「順を追って考えながら一つひとつ丁寧に取り組んでいる」
等々、子供のしていることをしっかりと見て、気付いてあげると、自然と努力がほめてあげられます。
見てあげられないときには
子供の言葉を笑顔で復唱してあげるだけでも褒めているのと同じ効果があります。
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