この記事は、
・フェンシングの審判が使っている用語は意味不明
・フェンシング経験者だけど曖昧な用語があるので詳しく知りたい
こんなことを思っている人に向けて書いた記事です。
また、少しだけですが、フェンシング経験者向けに
細かなルールや、意外と知らない人が多いルールに関しても説明しています。
筆者は
中学校のフェンシング部コーチとして2年連続全国大会優勝経験があるので、
本記事の信憑性を高く持ってもらえると思っております。
審判が良く使うフェンシング用語
この章で説明している用語さえ覚えておけば、試合を楽しく見ることができます。
試合で審判が発する言葉の中で、よく使われているのは以下の通りです。
- 「アンガルド プレ? アレ!」
(構えて 準備は良い? 開始!) - 「アルト」
(止め) - 「アタック シムルタネ」
(攻撃が 同時なので両者無効) - 「アタック トゥッシュ ポワン」
(攻撃が 有効面を突いたので 点数入ります) - 「パラード リポスト トゥッシュ ポワン」
(攻撃を防いで ついたのが 有効面なので 点数入ります) - 「アタック ノン コントルアタック ノンパラ」
(攻撃が 外れて 反対の選手の攻撃が 無効面を突いた)
各用語の詳細は下記の通りです。
Rassemblez! Saluez!(ラッサンブレ、サリューェ)
気を付け!礼!
審判が試合前に挨拶の号令として発する言葉。
En garde(アンガルド)
構えて
審判が選手たちに構えてもらうときに発する言葉
「アンギャ」と聞こえることが多い。
英語はオンガードなので、オンガードと言う人もいる。
Etes-vous prêts?(エト・ヴ・プレ)
準備はできましたか?
と審判が選手たちに聞くときに発する言葉。
「プレ?」だけしか言わないことが多い。
Allez!(アレ)
行け!
審判の開始の合図
Halte(アルト)
試合中に審判が選手たちに言う「止め(ストップ)」の号令のこと。
主に、審判機が反応したとき、選手がピスト(フェンシングをするコート)から出たとき等でアルトの合図がかかる。
touche(トゥッシュ)
得点となる突きのこと
pointe(ポワント)
選手に点数が入った時に審判が言う言葉。
点数が入った選手の方の手を上げて「ポワン(ト)」って審判が言います。
これだけを知っておけば、どちらに点が入ったか、すぐにわかります。
ちなみに「剣先」のこともポワント(ポイント)と言います。
l’action simultanée(ラクシォン・シムルタネ)
両者の同時攻撃
そのため、どちらにも優先権がなく、どちらにも点は入らない。
(エペ以外の場合)
多くの場合審判はシムルタネだけです。
Rien(リヤン)
無効
シムルタネの後に、今の有効面の突きは無効ですよ、という意味で使う。
多くの審判はシムルタネだけのことが多い。
coup double(クードゥブル)
同時突き
エペの場合は両者に得点が入る。
フルーレ、サーブルの場合はどちらかに優先権(攻撃権)がある状態
エペ以外のときに審判はこの言葉は言わないことが多い
Non valable(ノンパラブル)
ノンパラとも
無効面を突いたということ
なので、得点が入りません。
Non(ノン)
英語のNoと同じ意味
審判の問いに答えるときに否定の回答だった場合はNon(いいえ)と言えば良い。
また、審判が言うときは主に「アタック、ノン」や「リポスト、ノン」など優先権がある選手が突けなかったときに使う。
ちなみに、審判は言わないですが、突けなかった(外した)ときのことを「パッセ」と言います。
Non correct(ノンコレクト)
正しくない
審判が言うのは主に、アタックが正しくない状態のとき。つまり腕を曲げていたとき。
その他の用語
ここでは、知っていると試合がさらに面白くなる用語の解説をしています。
また、経験者でも知らない言葉や曖昧な言葉があるかと思います。
そういった方でも有意義な内容になっているかと思います。
Assaut(アソー)
2人で行う友好的大戦
つまり練習ですね。
match(マッチ)
対戦結果を決定付けるために得点記録を取る2人で行う対戦
つまり個人戦の試合のこと
rencontre(ランコントル)
団体戦
temps d’escrime(タン・デスクリム)
フェンシングの単一動作をする時間
単一動作は突きや前進一歩、後退一歩など一つの動作のこと
tempsは時間、escrimeはフェンシングのこと。
marché(マルシェ)
前進
Rompre(ロンぺ)
後退
passe avant(パッサバン)
歩いて前進
マルシェとは違い、足を交差させる。一般的に普段の歩きと同じような動作。
passe arriére(パッサリエール)
歩いて後退
パッサバンの逆
balestra(バレストラ)
ボンナバンしてからのファントすること
アタックのタイミングをずらすための技として使われる。
bond avant(ボンナバン)
軽くジャンプするような前進
初心者には難しい(笑)
bond arrière(ボンナリエール)
軽くジャンプするような後退
ボンナバンの逆
actions offensives(攻撃動作)
アタック、リポスト、コントルリポストのこと
Attaque( アタック)
腕を伸ばした状態での突き(fente:ファント)やflèche:フレッシュを行う攻撃動作のこと
Fente(ファント)
腕を伸ばして突進するように突くこと
Flèche(フレッシュ)
走り飛ぶ様に腕を伸ばして突くこと
◎Point!
アタック動作は手を伸ばしていることが重要。
- 前進からのアタック、でも手は曲がっている選手と
- 後退からのアタック、でも手は伸びている選手の場合ルール上では後者(手が伸びている選手)に優先権がある。
前者(手が曲がっている選手)はプレパラシォン(準備動作)であり、アタックではない。でも、特にフルーレでは手が曲がっていてもアタックを取ってくれることが多い。
◎MEMO
アタックは下記2種類あります。
- Simple(サンプル):単純
- composée(コンポゼー):複合→複数の動作をするとコンポゼになる。例えばユヌドゥー。
さらに単純(サンプル)も2種類あり、
- 直接:ストレート
- 関節:デガジ、クーペ
です。
Riposte(リポスト)
アタックをかわして行う攻撃動作のこと
パラードしてから突くとリポストになります。
Contre-reposte(コントルリポスト)
リポストをかわして行う攻撃動作のこと
つまり、リポストし返すってことです。
actions defensives(防御動作)
パラードのこと
parade(パラード)
相手の攻撃を武器(剣)でかわす防御動作のこと
◎Point!
パラードしてからリポストするまでの動作はなめらかでなくてはならない。
もし、少しでも躊躇(ちゅうちょ)したり、手を止めたりした場合は優先権を失う(相手に優先権が移る)。
dégagement(デガジュモン)
相手の剣の下を通ってラインを変えて突く技。
単純にデガジと言うことが多い。
UnDeux(ユヌドゥー)
デガジを2回する技。
1、2のテンポでするからユヌドゥー?
coupé(クーペ)
相手の剣の上を通ってラインを変えて突く技。
contre-attaques(コントルアタック)
相手が攻撃をしているにも関わらずするアタックのこと。
Arrêt(アレ:ストップヒット)
アタックになるコントルアタック。
要するに、複合攻撃(アタック コンポゼ)が行われる際の最終動作を開始する前に素早く突くこと。
例えばユヌドゥーの場合、
相手が最初のデガジを完了する前(2回目のデガジをし始める前)に自分が相手を突き、相手は2回目のデガジで自分を突いたとき、優先権は自分にある。この時に行った自分の突きをアレという。
アレをちゃんと取ってくれる審判はベテラン。
ちなみに、試合開始時の審判が発する「プレ、アレ」のアレとはスペルも意味も違う。
phrase d’armes(フラーズ・ダルム)
突きとかわしの一連の動作。
別の言い方をすると「優先権の移り変わり」です。
単にフレーズと言うことが多い。
剣と剣との旋律という意味でフレーズと名づけられている。
corps à corps(コル・ァ・コル)
選手同士の接触
これが起きた場合、審判は試合を中断する。
故意に行った場合は処罰(イエローカード等)される。
ただし、激しくぶつかった際は故意に行ったとみなされることが多いです。
pointe en ligne(ポワントアンリニュ)
腕がまっすぐ伸び、剣先が相手の有効面を向いている状態。
相手が攻撃態勢に入る前にポワントアンリニュをすると自分に優先権(攻撃権)がある。
◎Point!
相手がポワントアンリニュの状態のときに優先権を取りたいならば、相手の刀身をそらす(剣先が自分じゃない方向に向く)必要があります。
軽い接触では自分に優先権はうつりません。
Remise(ルミーズ)
相手にパラードされたときに腕を伸ばしたまま、もう一度突く動作のこと。
préparation(プレパラシォン)
準備動作
攻撃する前の前進のこと
battement(バットマン)
相手の剣を叩きつけて刀身をそらすこと
◎バットマン、リポストの注意
- 剣先2/3の接触の場合、攻めている方に優先権があります。
- 剣の根本1/3の接触の場合、守っている方に優先権があります。
(上記は、攻めている方は剣先を使って、守っている方のどの部分に接触したかです。)
どちらが叩きにいっているというのは関係なく上記判定がなされます(ルール上では)。
逆に、守っている方が剣先を使って相手の剣を叩きにいっても、全て相手に優先権があることになります。
実際は叩きに行ったことが明確な場合は、叩いた方に優先権があると判定されることが多いです。
prise de fer(プリーズドフェール)
相手の刀身を捕らえて剣をそらす守備技。
この時、両者の剣は接触したままの状態。
勘違いしている人が多いのは、払いのけて剣の接触が一瞬だけのやり方もプリーズドフェールだと思っていること。
正しくは、剣を捕らえる、接触したままということです。
attaque au fer(アタックオフェール)
相手の剣を叩いて(バットマン)からするアタックの技
まとめ
フェンシングの用語は全てフランス語でなかなか覚えられないと思います。
分からない用語が出てきたときには都度ここで調べて確認すると良いかと思います。
ない場合はコメント欄か問い合わせください。
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