早生まれのデメリットをなくす教育方法【伸ばすべき能力とは?】

・早生まれの子って勉強でハンデがあるけどいつまで続くのかなあ?
・早生まれってだけで性格にまで影響しないでしょ。
・発達の遅れを取り戻すには勉強しかないよね。

って思っている早生まれの子供を持つ親に向けて本記事を書きました。

最初に全部言ってしまうと、

  • 勉強のハンデは中学3年生くらいには大分小さくなっているけど、遅生まれの子の方が質の良い高校へ行っている。
  • 性格面(誠実性など)に関しても影響があって、中3になっても大きく残ったまま
  • だから、発達の遅れを取り戻そうとして勉強に力を入れる親が多いけど、実はそれが逆効果になる。
  • さらに言うと、早生まれの人は30代になっても収入が4%遅生まれの人より少なく、若いころからうつ病になりやすい傾向もある。

上記内容は、信頼できる論文から言える事実です。

また、執筆時現在、筆者の娘は6歳と3歳の娘がいるのですが、3歳の娘は早生まれです。

筆者は以前から、早生まれの影響が長く続くことを知っていたので、どのような教育をすることで、早生まれというハンデやデメリットを帳消しにすることができるのか必死に調べていました。

そこで、とても良い論文を見つけましたので、筆者の意見も交えながらご紹介いたします。

早生まれの伸ばすべき能力【論文紹介】

本記事では、早生まれが子供の能力に影響し、その影響が中学3年生になっても残っているって論文↓を紹介します。

東京大学大学院経済学研究科の山口教授の論文
Month-of-Birth Effects on Skills and Skill Formation

本記事内では、上記論文を本論文と表現していきます。

早生まれと遅生まれ

正確なことを御存知ない方のために、ちょこっとだけ解説します。

早生まれとは、1月1日から4月1日までに生まれた、ということです。
遅生まれはそれ以外の日に生まれたということ。

なので、日本の学校では、4月1日生まれは学年で最も若い子の誕生日になります。
逆に4月2日生まれが最年長ということ。

本記事では、早生まれ、遅生まれという言葉を使っていますが、便宜上のものであり、1月1日と12月31日できっちり傾向がわかれるというものではありません。

一つの学年で、月齢が若い子と年長の子というニュアンスでとらえてください。

早生まれのハンデ

論文内で紹介されている他の研究結果の紹介です。
早生まれの人に対しては、以下のようなことが言われています。

  • 早生まれの子供は、学力試験、スポーツ、その他学校活動で成績が悪い
  • 出生月が大学入学、労働所得、トップマネジメントなどの長期的な結果に影響する。
  • 早生まれは30〜34歳のときに収入が4%少ない
  • 出生月が15〜25歳の若い日本人の自殺率に影響を与える(→うつ病になりやすい)。

研究の概要

2015年から2018年の日本のとある県の公立学校で、62市町村の小学4年生から中学3年生約110万人の児童、生徒からデータを取っています(小学校708校と中学校356校)。

データは認知能力非認知能力の2種類ですが、それぞれ以下の内容で、テストやアンケートによってデータを収集しました。

  • 認知能力:数学、国語、英語のテスト
    (英語は中学2、3年生だけ)
  • 非認知能力:誠実性、自制心、自己効力感など
    ( 40分間のアンケートにて)

ここで、認知能力とは学力のことです。
非認知能力に関しては学力以外ってことになるので、かなり幅広い能力ってことになります。

それで、本論文では、3つの非認知能力に関してデータを取っていますが、3つそれぞれの言葉の意味は下記の通りです。

  • 誠実性:衝動調節のために社会的に規定された規範に従い、目標を定め、計画し、満足を遅らせることができる傾向→学力にも影響する。
    つまり、まじめかどうかってこと。
  • 自制心:衝動を調整し、長期的な目標を達成するためにすぐに報われる誘惑に抵抗する傾向
    →小児期の自制心は成人期の身体的健康、薬物依存、財産、犯罪の予測因子になる。
  • 自己効力感:指定された種類のパフォーマンスを達成するために必要な一連の行動を組織し実行する能力に関する自身の判断。
    つまり、自己効力感が高い状態というのは、ある目標に対して自分は成し遂げられる能力があると自覚している状態のこと。
    →自己効力感が学力テストのスコア、特に数学と強く相関している。

研究の結果

結果を順に説明していきます。

認知能力(学力)

基本的にどの学年も、遅生まれの子は早生まれの子よりもテストの点が良いです。
でも、年齢を重ねていく毎にその差は小さくなっていきます。

生まれ月ごとの数学スコア

上記グラフは、月齢と数学のテストの点数との関係を表しています。
学年ごとに色を変えていて、左から小学校4年生、5年、…、中学校3年生という順です。
月齢順に並べているので、同じ学年でも左の方が早生まれということになります。

グラフを見ると小4のときの生まれ月の影響(矢印の傾き)が、中3のころにはかなり小さく(水平に)なってますよね。

これは、国語、英語のテストの点数でも同様で、生まれ月の認知能力(学力)への影響は中3のころまでにはかなり小さくなる、という結果です。

非認知能力(学力以外)

非認知能力は学年と共にスコアが小さくなる傾向が他の研究でも示されています。
本研究でも同様で、学年と共に小さくなっています。

ただ、同じ学年で見ると、早生まれの子よりも遅生まれの子の方がより良い非認知能力を持っているのです。

生まれ月ごとの自己効力感スコア

非認知能力の中でも自己効力感のグラフが特にきれいな傾向を示していたので、グラフを貼りつけました↑。
認知能力(学力)と違って、学年が進んでも遅生まれと早生まれの子の差がほとんど変わっていないってところが注目すべき点です。

勉強(認知能力)はいずれ追い付くけど、心や性格(非認知能力)は全く追い付かない

これは何とかしなきゃいけない…って思いますよね。
でも、多くの人は上記グラフを見てるわけがないので、あることに力を入れようとするんです。

それは、勉強

中学3年生に関して論文内のデータは以下の通り。

  • 早生まれの子は遅生まれの子よりも週に0.3時間長く勉強をし、0.25時間多く読書をしていて、通塾率が3.9%ポイント高い
  • 逆に、スポーツや屋外での遊びは0.5時間、学校外の芸術、音楽、スポーツ活動は0.2時間短い

勉強に費やす時間が長くなるからこそ、認知能力だけは遅生まれの子に追いつくんだろうなってことがうかがえますね。

また、遅生まれの子は、早生まれの子よりも質の高い高校に入学するという結果も出ています。

対人関係

対人関係も自己効力感と同様の傾向を示しています。

学年と共に対人関係は悪くなっていく傾向があるにもかかわらず、遅生まれの子の方が、教師や友人とより良い関係を持っている。

非認知能力を伸ばす方法

本論文の中で紹介されている他の研究では、非認知能力を伸ばす方法として以下のことがわかっています。

  • スポーツ、音楽、芸術が非認知能力を向上させる。
  • スポーツ経験と非認知能力との間に強い関連性がある。
  • 音楽トレーニングが非認知能力を高める。
  • 人間関係の悪さが非認知能力に悪影響を与える。
  • 子供と教師の関係と子供の社会的スキルとの間に強い関連がある。
  • 小児期に形成された非認知能力が成人期の結果に影響を与える。

研究のまとめ

認知能力」、「非認知能力」、「高校の質」これら全てにおいて、早生まれは遅生まれよりも悪い傾向がある。

早生まれによる悪い影響は、認知能力の場合は年月と共に減少非認知能力の場合は小中学校を通して一定のまま。

早生まれは、認知スキルを伸ばすために、勉強、読書、塾に時間を費やしている。
対して、非認知能力を伸ばすためのスポーツ、音楽、芸術の時間は短く、先生や友人との関係が貧弱

早生まれの子供への教育方法

論文の内容から考えると、認知能力を伸ばすことはほどほどに、非認知能力を伸ばす教育が大切、ってことですね。

で、その非認知能力を伸ばすためには、スポーツ、音楽、芸術が重要で、さらに、友人だけでなく先生との関係も大切にしましょうってこと。

また、子供のころの非認知能力は大人になっても影響が残るので、小さいころから非認知能力を伸ばすことが大切。

ラミたん
要するに遊びまくれってことね。
たーみょん
そうすると今度は学力が落ちるからね。
食事と一緒でバランスが大切だよ。

可能な限り、塾よりもスポーツや芸術、音楽などの習い事に重きを置いて、その中で、たくさんの友人や先生とのかかわりを持つと効果が期待できます。

ただ、非認知能力が大切だからと、習い事や遊びに時間をたくさん費やして、勉強の時間がなくなると、今度は認知能力が悪くなってしまいます。

何事もバランスが大切

まとめ

早生まれは、ハンデ、デメリットが多く、小さいころから大人まで影響が続きます。

影響を少しでも小さくするには、非認知能力を伸ばすことが大切で、非認知能力を伸ばすには、スポーツ、音楽、芸術を経験すると良いです。